ケニア軍のソマリア侵攻

ケニア軍のソマリア侵攻

 

「アフリカも世界の一部」第47号 

20111016日、紛争が長年続くソマリアの情勢を変える大きな動きがあった。隣国ケニアの軍部隊が戦車や装甲車で国境を越え侵攻を開始したのだ。ケニアにとってこの「国家を守る作戦」は1963年の独立以来,最大の軍事行動である。

ケニア政府によると、侵攻の目的はケニアの国境の安全を確保することである。ソマリアでの紛争と飢餓の影響がケニアに溢れ、難民、海賊、誘拐事件などがケニア政府を悩ませてきた。ケニアの侵攻のきっかけとなったのは10月にケニアで起きた外国人の複数の誘拐事件(ソマリアの武装勢力によるもの)だが、それ以前かも侵攻を企画していたようである。

ケニアが特に問題視してきたのは、ソマリアの中南部を支配してきた武装勢力「アル・シャバブ」である。アル・シャバブは今年まで、首都モガディシュも支配し、昨年、ウガンダで起きた爆弾テロにも関与した。現在のケニアの攻撃はアル・シャバブに向けられており、港湾都市キスマヨの制圧を目指しているとされている。キスマヨは自治区ジュバランドの首都でもあり、ケニアはジュバランドを中心にバッファー・ゾーン(緩衛地帯)を確保し、ソマリアの問題がケニアに溢れるのを引き止める狙いであろう。

ソマリアでの紛争は依然として国際的なものである。2006年に、もう一つの隣国のエチオピアが侵攻し、首都の制圧に成功したものの、抵抗が激しかったこともあり、2009年に撤退した。残った暫定政府は弱く、首都のコントロールもできなかった。暫定政府を守るためにアフリカ連合が首都への派兵(主にウガンダ軍とブルンジ軍)し、2011年にようやく、アル・シャバブを首都から追放することができた。エチオピアはケニアの侵攻を機に、再びソマリアへの介入及びケニアと同様のバッファー・ゾーンの設置を計画しているとされ、すでに侵攻が始まっているという報告も出ている。

今回のケニアによる侵攻では、アル・シャバブの拠点への空爆も増えているが、すべてがケニア空軍によるものではないという疑いがある。特にいくつかのピンポイント空爆がケニア空軍の軍事能力を超えているとされ、アメリカもしくはフランスによるものではないかと推測されている。

日本のメディアは、ソマリア沿岸付近の海賊問題をときどき取り上げるが、今回のケニア侵攻とソマリア紛争をほとんど報道しない。読売新聞は10月にひとつの記事(280字)でケニア侵攻の事実を伝えたが、それ以降の1ヶ月以上、一度も紙面に載せていない。日本も悩まされている海賊問題の裏にはソマリア紛争がある。その紛争の展開を無視してもよいのだろうか。アフリカも世界の一部だ。

以下の文書のような形で、読売新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。

このリンクから直接投稿してください。

(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。

「ケニアがソマリアに侵攻してから1ヶ月が経ちました。読売新聞は侵攻の開始を伝える記事を掲載してから、その後の状況を一度も紙面に載せていません。海賊問題の裏にはソマリア紛争があります。その紛争を無視してもよいのでしょうか。アフリカも世界の一部です。」

英語になりますが、以下のサイトを参照に:

 ケニアのソマリア侵攻の動機に関する分析

 ケニアの軍事活動に関する分析

 ソマリアでの空爆に関する記事

 エチオピアの侵攻開始に関する記事

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