Congo Weekに懸ける思い

Eyes on the Congoからの投稿その1

私は、現在大阪大学グローバルコラボレーションセンター(GLOCOL)で勤務しているが、2005年から2006年の1年間イギリスの大学で国際関係学を学んだ。主にアメリカの外交が世界に与える影響力に関して研究した。一般的に、アメリカの外交の型は4つに大別されると言われている。1.ハミルトニアン:他国との経済的協力を強化がアメリカの国益を増し、国際社会も安定する。2.ウイルソニアン:アメリカは、国際社会に関して倫理的責任を負っているから、アメリカの価値観を世界中に広めるべきだ。3.ジェファソニアン:アメリカは自国内で完結できる国家であるから、他国に干渉すべきでない。4.ジャクソニアン:自国の利益を何よりも優先させるべきで、他国と深く関わりは持たない方が良い。が、戦争を仕掛けられたら最後、勝利意外は考えない。留学中は、この4つの型をアメリカが紛争へ介入した歴史、もしくはイラク戦争など現在の介入をも読み解くのに利用し、当てはめては議論を繰り返した。イラク、ボスニア、パレスチナ、北アイルランド等々。しかし、コンゴ民主共和国(DRC)が議題に上ることはとうとう無かった。

GLOCOLの助教である、Hawkins先生から、「ステルス紛争」というキーワードを教わった。そして私は疑問に思い始めた。上記のような明確な区別で国際関係を論じることに、またアメリカもしくは先進国という国々が持ちうる、いわゆる発展途上国に対する「まなざし」そのものに。「Eye on the Congo」に参加するきっかけとなったのは、卓上の理論でコンゴを語るのではなく、実践でリアルにコンゴの惨状を理解、解決するために行動を起こすべきだと考えたからだ。

最新の報告によると、冷戦終結以来、コンゴ民主共和国(DRC)では540万人以上が、紛争が原因で亡くなっている。それに比べて、日本でも比較的知られているパレスチナとイスラエルの紛争では死亡者数は8千人にとどまっている。[1]また、歴史を振り替えれば、第二次世界大戦での日本人の死亡者数は諸説があるが、310万人といわれている。現在、多くの日本人は、約2~3世代前までさかのぼれば、死亡や行方不明、負傷等戦争で被害を被った肉親がいる確立がかなりあると予想される。しかし、コンゴで今起こっていることは、それ以上の死亡者数を出し、歴史ではなく現状でありながら、国際社会から高い関心を得ることはないままだ。コンゴで産出されているレアメタルは、私たちの生活に深く入り込んでいる可能性が高いにもかかわらずだ。

民主党政権となったアメリカ政府は、遅まきながら、今年8月クリントン国務長官をコンゴ東部に送り込み、コンゴ中央政府カビラ政権へ1千7百万ドルもの支援を決定した。このアメリカからの支援は、アメリカ合衆国自身が体感した「Change」をコンゴで引き起こす機運となるのだろうか。崩壊国家であるコンゴの見せ掛けだけもしくは、紛争の要因でもある中央政府に支援をすること自体に批判の声も挙がっているが、少なくとも今まで以上に「コンゴ」をメディアで目にするきっかけとはなった。コンゴに対する有効な支援のために、国益を計算しながらの国というマスな目線ではなく、コンゴの現状を見据え、問題を把握した上で支援する必要がある。コンゴを支援団体、NGO “Friends of the Congo”のアドバイザーを務めるアリ・M・マラウ氏は、「今のコンゴの崩壊は前例がないレベルに達している。そうした現実を認めない議論は、知性を疑うほかない」と語っている。[2]2000年から2004年の4年間だけで、400万人が紛争で死亡し、誤解を恐れずに言えば、「ただ、死亡している」のは、紛争の一部分であり、インフラは破壊され、反政府軍、政府軍を問わず兵士らによる一般市民への略奪やレイプが横行している。[3]このコンゴの人々の異常を世界に向け発信しようと、私たち「Eyes on the Congo」は、10月18日~24日のコンゴウィークに向けて、始動している。

 


[1] Accessed 21 September, 2009. http://www.glocol.osaka-u.ac.jp/research/090417sasshi.pdf 

[2] Accessed 21 September, 2009.  http://newsweekjapan.jp/stories/world/2009/08/post-433.php

[3] Accessed 21 September, 2009. http://www.foreignpolicy.com/story/cms.php?story_id=4763 

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