アル・シャバブ のアーカイブ

ケニア軍のソマリア侵攻

Posted in 「アフリカも世界の一部」, エチオピア, ケニア, ソマリア with tags , , , , , , , , , , , , on 11月 24, 2011 by Virgil

ケニア軍のソマリア侵攻

 

「アフリカも世界の一部」第47号 

20111016日、紛争が長年続くソマリアの情勢を変える大きな動きがあった。隣国ケニアの軍部隊が戦車や装甲車で国境を越え侵攻を開始したのだ。ケニアにとってこの「国家を守る作戦」は1963年の独立以来,最大の軍事行動である。

ケニア政府によると、侵攻の目的はケニアの国境の安全を確保することである。ソマリアでの紛争と飢餓の影響がケニアに溢れ、難民、海賊、誘拐事件などがケニア政府を悩ませてきた。ケニアの侵攻のきっかけとなったのは10月にケニアで起きた外国人の複数の誘拐事件(ソマリアの武装勢力によるもの)だが、それ以前かも侵攻を企画していたようである。

ケニアが特に問題視してきたのは、ソマリアの中南部を支配してきた武装勢力「アル・シャバブ」である。アル・シャバブは今年まで、首都モガディシュも支配し、昨年、ウガンダで起きた爆弾テロにも関与した。現在のケニアの攻撃はアル・シャバブに向けられており、港湾都市キスマヨの制圧を目指しているとされている。キスマヨは自治区ジュバランドの首都でもあり、ケニアはジュバランドを中心にバッファー・ゾーン(緩衛地帯)を確保し、ソマリアの問題がケニアに溢れるのを引き止める狙いであろう。

ソマリアでの紛争は依然として国際的なものである。2006年に、もう一つの隣国のエチオピアが侵攻し、首都の制圧に成功したものの、抵抗が激しかったこともあり、2009年に撤退した。残った暫定政府は弱く、首都のコントロールもできなかった。暫定政府を守るためにアフリカ連合が首都への派兵(主にウガンダ軍とブルンジ軍)し、2011年にようやく、アル・シャバブを首都から追放することができた。エチオピアはケニアの侵攻を機に、再びソマリアへの介入及びケニアと同様のバッファー・ゾーンの設置を計画しているとされ、すでに侵攻が始まっているという報告も出ている。

今回のケニアによる侵攻では、アル・シャバブの拠点への空爆も増えているが、すべてがケニア空軍によるものではないという疑いがある。特にいくつかのピンポイント空爆がケニア空軍の軍事能力を超えているとされ、アメリカもしくはフランスによるものではないかと推測されている。

日本のメディアは、ソマリア沿岸付近の海賊問題をときどき取り上げるが、今回のケニア侵攻とソマリア紛争をほとんど報道しない。読売新聞は10月にひとつの記事(280字)でケニア侵攻の事実を伝えたが、それ以降の1ヶ月以上、一度も紙面に載せていない。日本も悩まされている海賊問題の裏にはソマリア紛争がある。その紛争の展開を無視してもよいのだろうか。アフリカも世界の一部だ。

以下の文書のような形で、読売新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。

このリンクから直接投稿してください。

(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。

「ケニアがソマリアに侵攻してから1ヶ月が経ちました。読売新聞は侵攻の開始を伝える記事を掲載してから、その後の状況を一度も紙面に載せていません。海賊問題の裏にはソマリア紛争があります。その紛争を無視してもよいのでしょうか。アフリカも世界の一部です。」

英語になりますが、以下のサイトを参照に:

 ケニアのソマリア侵攻の動機に関する分析

 ケニアの軍事活動に関する分析

 ソマリアでの空爆に関する記事

 エチオピアの侵攻開始に関する記事

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不安定なアフリカの「角」

Posted in 「アフリカも世界の一部」, アフリカの角, エチオピア, ソマリア, メディア, 報道量 with tags , , , , , , , , , , , , , , , , on 9月 20, 2010 by Virgil

「アフリカも世界の一部」第10

エチオピアソマリアエリトリアジブチが構成する「角」の形をする地域では、いくつかの紛争が激化し、不安定な状態が続いている。

以前の記事(「アフリカも世界は一部」第7号)で、ソマリアの紛争が激化し、6人の国会議員を含む多くの人が過激派武装勢力のアル・シャバブの攻撃で殺されたと伝えたが、この紛争が続いている。

アフリカ連合のミッション(AMISOM)は約1,000人の増加で7,200人の部隊となったが、ソマリアの「暫定政府」とAMISOMは首都の一部しかコントロールできない状況が続いている。首都モガディシオの空港と大統領官邸はこの2週間の間も、アル・シャバブの攻撃を受けている。これらを守ることが精一杯というのが現状である。AMISOMの人数不足は問題ではあるが、装備・設備不足と兵士の給料の低さも指摘されている。

 また、アル・シャバブは、多くの人道支援団体に対して、キリスト教と西洋のイデオロギーを普及しようとしていると指摘し、「活動禁止令」を出している。140万人以上の人が避難民になっているソマリアでは、これが人道問題のさらなる悪化につながりかねない。

 もうひとつ、激化している紛争はエチオピアの東部にあるオガデン地域である。1897年にソマリアを植民地にしていたイギリスはエチオピアとの取引でオガデン地域をエチオピアに譲ることになった。ソマリアにとっては、歴史的に「失われた領土」のひとつだという認識があり、1977年にエチオピアから取り返そうと、ソマリアは戦争を仕掛けたが、ソマリアを支援していたソ連がエチオピアに寝返り、失敗に終わった。

 1990年代、オガデン民族解放戦線(ONLF)が独立、もしくは自治を求めて反政府勢力として軍事活動を開始した。2007~2008年に紛争が特に激化し、2007年にONLFがオガデン地域にある中国資本の油田に攻撃をかけた。また、国境をめぐりエチオピアと敵対関係が続くエリトリアが、ONLFを支援しているとされている。2010年に入ってから、エチオピアはONLFのいくつかの派閥と和平合意をしていると主張しているが、ONLFはこれを否定している。

 今年9月、ONLFの部隊がソマリランドからオガデンに入り、エチオピアの国軍と激しく争っていると報告されている。エチオピア政府は123人の武装勢力の兵士を殺したと発表しているが、ONLFはこれを否定している。また、この紛争が悪化しているなか、今年、マレーシアの石油会社ペトロナスがオガデンから撤退を決めたようである。

ソマリアとエチオピアでのこれらの進展に対して、読売新聞は沈黙を守っており、報道はゼロのままである。ちなみに読売新聞の9月前半の報道量を見ると、芸能人、押尾被告公判への報道はアフリカ全53カ国でのすべての出来事への報道をはるかに超えている。このままでよいのだろうか。アフリカも世界の一部だ。

以下の文書のような形で、読売新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。

このリンクから直接投稿してください。

(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。

 「アフリカの「角」と呼ばれる地域での不安定な状況が続いています。ソマリアの首都では、暫定政府とアフリカ連合のミッションが、過激派武装勢力と激しくぶつかっており、また、エチオピアのオガデン地域でも紛争が激化しています。しかし読売新聞の報道量はゼロのままです。9月前半の報道量を見ると、芸能人、押尾被告公判への報道はアフリカ全53カ国でのすべての出来事への報道をはるかに超えています。このままでよいのでしょうか。アフリカも世界の一部です。」

 英語になりますが、以下のサイトを参照に:

 激化しているソマリア紛争に関する記事

 武装勢力ONLFの公式ウエブサイト

過去の記事に関する最新情報:

「アフリカも世界の一部」第2号で伝えたギニアの歴史的な選挙(7月)の第2ラウンドは9月18日に行われる予定だったが、候補の支援者が首都でぶつかり、死者1人と負傷者50人が出たため、選挙の実施が延期された。詳しくはこちら

 ※  コンゴ民主共和国の紛争への意識を高めるためのグローバル運動「コンゴ・ウィーク」が、今年は10月17~23日に世界各地で開催されます。日本でも、大阪大学を中心にいくつかのイベントを予定しています。詳細はこれからお知らせしますが、関心のある方はご一報をお願いします。 

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ソマリア紛争の進展

Posted in 「アフリカも世界の一部」, ソマリア, 報道量 with tags , , , , , , , , , on 9月 2, 2010 by Virgil

「アフリカも世界の一部」第7

8月22日からソマリアの過激派武装勢力、アル・シャバブ(アル・カーイダともつながっている組織)が首都モガディシオで同国の暫定政府に攻撃を仕掛けてきている。そして24日に暫定政府関係者が多く泊っていたホテルを攻撃し、6人の暫定政府の国会議員を含む32人が殺された。

アル・シャバブは暫定政府を支えてきた国外勢力(アフリカ連合ソマリア・ミッション、AMISOM)に対しても、「大規模戦争」を開始すると宣言しており、AMISOMは部隊の増力が始まったばかりであった。

ソマリアは約20年間、事実上の無政府状態が続いている。2004年に暫定政府ができたものの、統治能力は首都の一部にしか及ばず、又、暫定政府そのものが国外から課されたものという印象が強く、正統性を欠いている。これまでに様々な武装勢力間の権力争いが続いてきた。

2006年にイスラム法廷会議という組織が首都の武装勢力を抑え、15年ぶりに、一種の「安定」がソマリアに訪れた。しかしその半年後、アメリカの支援を受けた隣国エチオピアは、イスラム法廷会議の中の過激派を恐れソマリアに侵攻し、イスラム法廷会議を制圧して首都を侵略した。ところが、イスラム法廷会議の崩壊から生まれた過激派のアル・シャバブなどがエチオピア軍の占領に対して激しく抵抗し、その2年後にはエチオピア軍が撤退した。アル・シャバブは残った暫定政府とそれを支えるAMISOMと戦いを続けた。

8月から始まったアル・シャバブの攻撃は果たして、「大規模戦争」の始まりなのだろうか。アル・シャバブはウガンダでもテロ攻撃をしているが、ソマリアの暫定政府とAMISOMを抑圧するほどの軍事力はなく、上記のような奇襲攻撃、テロ攻撃が続くと、専門家が見ている。

日本のメディアは最近、ソマリア紛争が原因で発生している海賊問題に関心を示しているが、なぜか肝心なソマリア紛争の実態を取り上げようとしない。読売新聞は海賊問題に関する記事は多いが、紛争に関する記事がほとんどない。24日のアル・シャバブの攻撃のことを「過激派自爆テロ」として一つの短い記事を記載したが、その文脈からは紛争の現状と背景が見えてこない。 

海賊問題が示すように、日本とアフリカの紛争を切り離すことができないものは少なくない。ソマリア紛争そのものに注目せずに、海賊問題に対する理解も改善策も生まれない。紛争のことも報道するべきではないだろうか。アフリカも世界の一部だ。

以下の文書のような形で、読売新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。

このリンクから直接投稿してください。

(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。

「ソマリア紛争は激化しています。過激派武装勢力アル・シャバブが暫定政府とアフリカ連合ソマリア・ミッションに対して攻撃を増やしています。しかし、読売新聞はこの紛争が原因で発生している海賊問題を報道しているものの、紛争をほとんど取り上げていません。ソマリア紛争に注目せずに、海賊問題に対する理解も改善策も生まれません。紛争のことも報道するべきではないでしょうか。アフリカも世界の一部です。」

英語になりますが、以下のサイトを参照に:

 ソマリアでの戦闘に関するニュース(映像)

 ソマリア紛争の進展の分析

 アル・シャバブに関する記事

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