コンゴ民主共和国 のアーカイブ

メディアに映し出されない世界最大の紛争

Posted in アフリカ, コンゴ民主共和国 with tags , , , , , , , , on 11月 17, 2014 by Virgil

Håkan Lindgren(著)
Svenska Dagbladet紙(スウェーデン)、2013-01-22
遠藤美紀(訳)

西洋社会のメディアが描く「世界の不安材料」の絵、は現実とは一致していない。
今日続いている紛争のうち、どれが群を抜いて大きいかを答えられる人は少ない。一方、多くの人はイスラエルとパレスチナ間が最も死者数の多い紛争地帯と思っているが、それは誤りだ。

外国に対するメディアの監視について、筆者がこれまで読んだもっとも鋭い批判は、ほとんど世に知られていない。それは、2008年に出版された、ヴァージル・ホーキンスによる学術書「ステルス紛争」である。注目を集めない戦争に関する本書がそれ自体、レーダーにひっかからないできたことは、もちろん理にかなっていると言えよう。
筆者はこの本を読んで以来、日刊紙の国際面が奇妙に感じ始めた。どの形容詞も、本当には的に得ていないような(おそらくこれは一過性の効果で、心配することではないであろう)。

我々は、情報過多のストレスについて不平を言うが、ネット社会について繰り返し我々がこぼす不平は、実際は一種の自己賛美である。情報がまるで洪水みたいだ!消化できないほどの情報量だ!筆者は毎朝、朝刊の記事の中では、漫画の「ロッキー」以外はすべて、ただ自己防衛本能のために選定せざるを得ない。でないと溺れてしまうことだろう。しかし、ホーキンスにとっての問題は別物である。「我々はこれまでになかったほどの限りない量の情報へのアクセスを有していると言われているが、世界中で起こっている紛争について、我々が求めて得る情報は、比率においても、そして論調においてもとても歪んでいて、現実世界とはほとんどなにも共通するものがない。」

「50年以上において、世界で起こっている最も死者数が多い紛争、9か国からの兵を巻き込んでいる紛争、西ヨーロッパほどの広大さの戦場を抱え、結果として500万人以上の死者を出しながら、周りの世の中が何の気にもかけない紛争がある」とホーキンスは続ける。彼が言っているのはどの紛争か想像できる人はいるだろうか?筆者にはわからなかった。

その答えは、コンゴ民主共和国(隣国のコンゴ共和国-コンゴ・レオポルドビル、と区別するために、しばしばコンゴ-キンシャサと呼ばれる)の紛争である。ルワンダに先導された侵入により1998年に始まり、いまだに続いている。その死者総数の大きさで、コンゴの戦争は第二次世界大戦以降の、最も大きな戦争2つののうちの1つとなっている ― ちなみにもう1つは、おそらく誰かはベトナム戦争と考えるだろうが、そうではなく、朝鮮戦争である(前者の死者数は300万人、後者は450~700万人)。犠牲者のほとんどは、軍の暴力ではなく、病気や飢えによって亡くなっている。つまり、戦争に起因する人道的大惨事によるものなのである。ただこれらの数字には、筆者がウプサラ紛争調査データベースのプロジェクトマネジャー、スティーナ・ヒューグブラードに確認した時には、より慎重な回答が返ってきた。ヒューグブラードが挙げたコンゴでの死者数は300~500万人、これは国際救援委員会による推定に基づいた数字である。

コンゴ民主共和国国軍(Photo: MONUSCO)

著書のはじめに、ホーキンスは一度見ると忘れられない表を記している。死者数によってランク付けした近年の戦争と紛争。それは、我々が新聞の国際面で慣れ親しんでいる世界とはまた違った世界を表している。群を抜いて大きいのはコンゴでの戦争なのである。続いて、スーダン、アンゴラ、ルワンダ、アフガニスタン、ソマリア、そしてイラクである。最下位は(ホーキンスがそこでランク付けを終えているのはもちろん偶然ではないのだが)イスラエル-パレスチナである。イスラエル-パレスチナよりも大きいのは、とりわけ、カシミール、コロンビア、スリランカ、フィリピン、タジキスタン、ペルー、ミャンマーそしてネパールの戦争である。これらについて我々はどれだけ読む機会が与えられているだろうか?

数年前、筆者はあるフリーランスのジャーナリストに会った。筆者に、新聞に載ることのないニュースがたくさんあることを説明してくれた。興味深いですね、例を挙げてみていただけますか?と筆者。すぐさま、パレスチナ!という返事だった。

世界中の紛争のなかでも、イスラエル-パレスチナの紛争は特殊で特権階級的な位置を占めているとホーキンスは述べている。これほど詳細にわたって、継続的に注視されているものは他にない。イスラエル-パレスチナがアフリカ全土よりも注目を浴びることは稀ではない。それでも誰も満足しない。記事になるたびにそれに対する反発が生まれる - 視点が偏っていて不公平だ、自身が心情を共にしない側の方が優位に働くようにするものだ、と。我々の偽りの報道世界では、イスラエル-パレスチナはアメリカのように1つの大陸で、地球上の残りの部分は一種の添え物で、紙面を満たすために必要に応じて、そこから記事がピックアップされるのである。

ホーキンスは新聞などの記事の統計をとっている。それによると、コンゴでの戦争では最初の2年間に約180万人が亡くなったのだが、その間ニューヨーク・タイムズ紙は(同時期の死亡者が2000人の)イスラエル-パレスチナについて、コンゴについてよりも11倍多くの記事を載せ、CNNは53倍多くのニュースを流しているのだ。

このバランスの悪さは人々が世界に対する認識を形成する際に貢献している。2003年に行われた、オーストラリアの大学生へのある世論調査では、彼らが、イスラエル-パレスチナ紛争が世界で最も犠牲者の多い紛争だと思っていることが示された。彼らの半数以上が、この紛争が解決を最も要する紛争だと思う、と回答している。パレスチナに対するこの強いフォーカスと共に存在しているのは特に、アラブ諸国移り住んでいる約450万人のパレスチナ人に対する、メディアの完全な無関心さだ。彼らは、場合によっては1948年から住んでいるのにもかかわらず、そこで正当な住民としての権利を拒否されているというのに。

なぜ、紛争によっては人目に映らないものがあるのだろうか。ホーキンスは、政府やメディア、国際協力機関などの関係者がみな、1つの同じボールを追うことを好むことを言及している。救援組織の使命は、他のすべてからは見捨てられた人々を救うことであるが、実際のところは、無名の、または忘れ去られた紛争のために組織の資源を無駄に使いたくないのだとホーキンスは述べている。コソボでは、1998年から1999年に亡くなったのは2000人だが、1999年に得た援助金は、紛争にさらされたアフリカ全土の地域へのそれよりも多いものだった。また、国際赤十字委員会は、イスラエルとその占領領域に、コンゴへの援助の2倍を与えている。

ホーキンスによると、メディアは自身に課された二重の使命に失敗したという。現実を映し出し、信頼に足る鏡としての機能としても、他の関係者に対する番犬としても。第二次世界大戦後に世界の紛争に関連した死者数の88%はアフリカで起こったもので、アジア6%、中東4%だが、メディアによるニュースとしての価値付けはまったく正反対である。我々はメディアが、政治家に行動を促す火炎放射器のようなものだと考えたがる。しかし1990年代初頭のソマリア紛争に関しては、国による組織であるアメリカの海外災害援助室が警報を鳴らしてから初めて、メディアは何が起こっているかを発見して、それに追随したのだった。

ホーキンスは現在大阪大学国際公共政策研究科の准教授で、この著書の大部分は、日本の援助団体のAMDAで勤務していた際に、ザンビアで書かれたものである。ニュースにおいて、アフリカがいかに偏見を抱かれ、なおざりに扱われているか、彼の失望振りは本書ではっきりと見てとれる。コンゴに対するメディアの監視力は、100年前のほうが実によかったという。当時は、エドモンド・モレルが、ベルギーの植民地であったコンゴでの奴隷制について注目に値すべき運動を行った時代である。

メディアによる影、それはアフリカが地理的に遠いからであろうか?ホーキンスが反論するところでは、あらゆる紛争は、国際的に影響が及ぶ結果をもたらすものだという。国連によると、紛争の間、20カ国以上の企業がコンゴからの自然物資の不法取引に関与していた。つまり、それほどアフリカは遠くない、ということだ。また、その上、武器産業が世界の国々がより強く結びつくのに貢献している。たとえば12月12日、スヴェンスカ・ダーグブラーデット紙のバッティル・リントナーはミャンマーにてスウェーデン製の無反動砲を発見している。

コンゴにて活動するのはもしかしたら危険すぎるのであろうか。いや、かの地へ赴くのが危険だからといって紛争のどれかをメディアが取り上げないというのは、説明として値しない、とホーキンスは述べている。その意思さえあれば、彼らはどこへでも赴き、経費に糸目はつけないものだと。侵入後の数年、イラクでは他の地でよりも多くのジャーナリストが殺されたが、そのことが当地からの報道を妨げることはなかったのである。

間違いはただ、ニュースのゆがんだ価値基準にある、とホーキンスは言う。はっきりと見分けがつく「良い側」がいない紛争には、メディアは興味をなくすものだ。そうなると、メディアは手を抜いて、古臭い民族対立やカオス状態の暴力について話し始める。ホーキンスは、ルワンダの市民虐殺はカオス状態ではなかった、と主張する。80万もの人が、ある一定の計画もなく100日で殺されるわけがないと。

世界の紛争を理解するには、歴史や政治、経済がいつも変わらず関係している、が、メディアはそれよりも、文化的アイデンティティーや民族的属性に一層、ニュースの媒体のなかで、過度な役割を与えるようになっているとホーキンスは著書で述べている。アイデンティティーに基づいた紛争が自然なものであることは暗黙の了解にある。避けることができず、おそらく解決ができず、おそらく他者には把握しがたい。そのためつまり、他者にそれを問題視しないで、安穏としてすませられるものなのだ。そうではなく、アフリカにおける「民族的」紛争について、ホーキンスが望むのはむしろ、それが組織犯罪として記されることだ。「アフリカの紛争を起こしている『文化』はシチリアのマフィアのそれと似ている〔…〕アフリカで戦闘を行っている分派は「族」としてではなく犯罪ビジネス組織として理解されるべきだ」と。

テロとの戦いについてメディアが費やしてきたボリュームすべてを考慮すると、テロが劇的に増えたと考えるのは難しくない。しかしそのような増加は見て取ることができない、とホーキンスは言う。テロの攻撃は、90年代よりは多いとはいえ、80年代よりも低く、増加は主にイラクや中東、南アジアの出来事によるものなのである。世界のその他でのテロの攻撃は「第二次世界大戦以後目を見張るほど減少している」。ホーキンスがもっと懸念しているのは明らかに「グローバル軍閥主義」の台頭である。―地方軍閥のリーダーが略奪や買収で財を成すことが、拡大しつつある問題として、今の時代の特徴となっている。

テロを議論するときは、米国の陸軍士官学校、ウェストポイントにおける研究について語るときでもあろう。2009年の研究 「Deadly vanguards(死の最前線)」はわれわれの時代のイスラムによるテロを念頭においている。この研究をしたスコット・ヘルフェンシュタイン、ナサール・アブドゥラ、ムハンマド・アル-オバイディは2004年から2008年までのテロの攻撃について調査した。彼らの統計から描かれたのは、主としてムスリムを殺害する組織の絵図だった。調査対象年の死者数の88%は非西洋人で、ほとんどがイラクの人々であった。「アルカイダの暴力の対象は、彼らが『戦う』と主張する西側権力ではなく、おそらくもっとも、彼らが『保護している』と主張するところのムスリムの人々なのである。」と3人は述べている。彼らの研究を読んだ後では、アルカイダはもはや西側を攻撃するもの、―または、西側の帝国へ対抗するものーとは思えなくなるのである。

我々が享受するメディアは、今後、増えるのであろうか、減るのであろうか。我々とメディアの間のパイプラインはかつてないほど太い、が、洪水のような情報は、人々がそれを詳細にわたるまで注視することを怠ると、その内容はむしろ減っていくように思える。それについては、2010年に ジョナサン・ストレイが「ニーマン・ジャーナリズム・ラボ」i に寄せた寄稿が考え深い。ストレイが同一のニュースについて800本のインターネット記事を調査したところ、121本の記事以外はすべて同一だったのだ。何らかの自身の言及をした記事は13本、自身の報道による作業を主体としたものはたったの7本(0.9%)。他のものは、編集にまわす事なく、お互いの記事を書き写しあったジャーナリストに作成されたものだ。

新聞社は繰り返し、質と内容の掘り下げに力を入れることで生き残る、と言っている、が、その判断力を失うには、イタリアの沖合で1隻の豪華客船が転覆するだけで十分なのである。数日間にもわたって、たかだかひとつの通知にしか値しないことに全ページ費やすのだから。それとももしかしたら吹雪がまたやってきているのだろうか?そうすれば、編集部はまたゆっくりと構えて、ヘッドラインニュースに天気をもってくることができる。2012年2月9日にダーゲンス・ニィーヘーテル紙iiのベーラング・ベージョーが書いたように、気象はスウェーデンの新聞各紙にとって最大のニュースとなろうとしている。

メディアの洪水の中で、真の情報が欠落していることを理由に、人々が「あまり知らないので、意見などない」と言う、ということにはならないであろう。人々がそれほど哲学的な心境になることはそうそうない。そうではなく、何が起こるか想像するのは簡単だ。情報が空いたところには即座に、独断、偏見、うわさと陰謀説がその穴を埋める。我々は自らますます愚かになろうとしている。未来の紛争は明らかに予兆されているのである。

i 訳者注 ハーバード大学で立ち上がったジャーナリズムの将来像を研究するプロジェクト。ブログでデータジャーナリズムなどに関する掲載されている。

ii スウェーデンの最大日刊紙。

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安定しないコンゴ民主共和国

Posted in 「アフリカも世界の一部」, コンゴ民主共和国 with tags , , , , , , , , , , , , , , , , , on 9月 6, 2011 by Virgil

「アフリカも世界の一部」第44号 

201111月、コンゴ民主共和国DRC)で大統領選挙が予定されている。しかし、実施に必要なDRC政府の予算も、先進国ドナーからの援助も大きく不足しており、準備が遅れている。有権者登録が済んだものの、独立機関による確認が行われていない。野党が不正を訴え、91日には首都キンシャサで数百人によるデモが発生した。現在も、選挙を延期するべきか、不正の懸念を持ちながらも予定通り強行するべきか、DRC国内外で議論されている。

冷戦後、世界最多の死者数を出しているDRCの紛争はまだ終わっていない。DRCに侵攻し占領していたルワンダウガンダ2003年までに撤収し、表向きには、国際紛争は終息した。包括的な和平合意が結ばれ、2006年に歴史的な選挙も行われた。ルワンダが支援し続けていた大型反政府勢力も2009年に政府と和平合意を結び、兵士は国軍に取り込まれることになった。

しかし、紛争は部分的に続いている。東部ではいくつかの武装勢力が軍事活動を続行しており、DRCの国軍はいまだに制圧できていない。また、多くの人権侵害の加害者が給料も訓練も十分に受けていない国軍の兵士であり、国軍でありながらも一般市民にとって脅威となることも少なくない。さらに、和平合意を結び、国軍に「統合」された元武装勢力も、制服を着替えたものの、もともとの形をそれほど崩しておらず、部隊の解体やDRC国内の他の地域への移転を拒んでいる。

また、様々な形で紛争が20年近く続いてきたため、警察、司法制度の機能が極めて弱く、治安が大きな問題として残っている。安定しないDRCの東部では暴力事件、殺人事件、レイプが多発している。そして少なくとも170万人の国内避難民は家に帰ることができていない。

紛争を長引かせたひとつの要因として、日本の電子産業にも欠かせない鉱物資源が挙げられている。昨年発表された国連の報告によると、東部にあるほとんどの鉱山は国軍を含む武装勢力にコントロールされている。このような紛争と関連した鉱物資源の規制につながる法律がすでにアメリカで採択されている。その結果、企業は使用している資源が紛争と無関係であることを証明する義務を負うようになる。アメリカ及びアメリカの市場を対象にする世界の多くの企業がすでにDRCからの鉱物資源を避け始め、DRCからのスズ、金、タンタルなどの輸出が激減している。

日本のメディアはなぜこのような情勢を無視するのだろうか。読売新聞は2011年に入ってから、DRC情勢に関する記事をひとつも掲載していない。せめてDRCの安定に大きく影響する今年の選挙、そして日本の電子産業にも影響を及ぼす鉱物資源問題に関する報道があってもよいのではないだろうか。アフリカも世界の一部だ。

以下の文書のような形で、読売新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。

このリンクから直接投稿してください。

(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。

「今年実施されるコンゴ民主共和国の大統領選挙の準備が遅れ、不正を訴える野党によるデモが発生しています。日本の電子産業も関連している鉱物資源問題も世界で注目を浴びています。にもかかわらず、読売新聞は2011年に入ってからコンゴ民主共和国の情勢を一度も報道していないのはなぜでしょうか。アフリカも世界の一部です。」

英語になりますが、以下のサイトを参照に:

 選挙準備をめぐるデモに関する記事

 DRC紛争と武装勢力に関する分析

 DRC紛争、選挙、鉱物資源に関する分析

 10月に行われる国際イベント「コンゴウィーク」に関する情報

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コンゴ民主共和国と金の密輸

Posted in 「アフリカも世界の一部」, コンゴ民主共和国, 資源 with tags , , , , , , , , , , , , , , , , , , on 2月 28, 2011 by Virgil

「アフリカも世界の一部」第31 

2011年2月、ビジネスジェットがコンゴ民主共和国の東部にあるゴマ市の空港に着陸し、その場で取引が行われた。5.5億円相当の米ドルが降ろされ、約500キロ分の金の延べ棒が乗せられた。飛行機が離陸寸前、不審に思った警察に発見され、引き留められた。

飛行機はアメリカの石油会社のものであり、ナイジェリア経由でタックスヘイブン(租税回避地)のバミューダから来ていた。ゴマ空港で密輸の疑いで逮捕されたのはその石油会社の社長の親戚(アメリカ人)をはじめ、フランス人、ナイジェリア人2人を含む8人であった。まさにグローバル化の負の側面を表す事件である。

今回の取引された金の市場価格は16億円相当だといわれている。その売り手はルワンダに支援を受けてきた反政府勢力CNDPの元リーダーのボスコ・ンタガンダであった。ルワンダ出身のンタガンダ氏は戦争犯罪で国際刑事裁判所から逮捕状が出ており、別名「ターミネーター」とも言われている。2009年の和平合意のもと、CNDPはコンゴ民主共和国の国軍に吸収され、ンタガンダ氏は国軍所属の身分である。本人によると、取引はおとり捜査だった。一方、逮捕されたビジネスマンは密輸ではなく、ケニアで合法的な取引をするはずであり、詐欺の被害者だと主張している。

コンゴ民主共和国は鉱物資源の宝庫である。金の他に、電化製品に欠かせないタンタル、スズ、タングステンが大量にあり、リチウムイオン電池に使われるコバルトは世界生産量の4割も出している。ダイヤモンドや銅も豊富である。しかし、これらの鉱物資源はコンゴ民主共和国が抱える世界最大の紛争と関係があり、闇市場で動いているものも少なくない。そこで、2010年に政府は東部での鉱業事業に対して一時的な禁止指令を出し、それは今も続いている。アメリカも中央アフリカからの鉱物資源の輸入を厳しく規制する法律を2011年4月から発効し、企業は使用している資源が紛争と無関係であることを証明する義務を負うようになる。

このように、鉱物資源において大きな動きがあり、又、政治情勢も動いている。今年11月、大統領選挙が行われる。カビラ現大統領が出馬する予定だが、長年、野党のリーダーを務め、前回の選挙をボイコットしたチセケディ氏も今回出馬することを表明している。別の野党のリーダーのカメレ氏も人気が上昇している。また、残っている武装勢力のいくつかのグループと政府との間は、和平合意が進んでおり、国軍に吸収されることになる。

日本のメディアは相変わらず、コンゴ民主共和国での出来事を取り上げてない。今年、朝日新聞はコンゴ民主共和国に関する記事を一つも掲載していない。この国は世界最大の紛争を抱えており、そこでの出来事は他人事ではない。そろそろ注目してもよいのではないだろうか。アフリカも世界の一部だ。 

以下の文書のような形で、朝日新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。

このリンクから直接投稿してください。

(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。

「2011年に入り、朝日新聞は一度もコンゴ民主共和国での出来事を報道していません。しかし、日本にも関係する鉱物資源に関する動きが見られ、政治情勢も動いています。世界最大の紛争を抱えているこの国での出来事に注目してもよいのではないでしょうか。アフリカも世界の一部です。」

英語になりますが、以下のサイトを参照に:

 金の密輸の事件に関する記事

 鉱物資源の輸入を規制するアメリカの法律に関する記事

 コンゴ民主共和国の鉱物資源に関する分析

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コンゴと鉱物資源と日本

Posted in 「アフリカも世界の一部」, コンゴ民主共和国, メディア, 資源, 報道量, 大湖地域 with tags , , , , , , , , , , , , , , , , , , , on 11月 17, 2010 by Virgil

「アフリカも世界の一部」第18 

第2次世界大戦後、世界最大の紛争を抱えているコンゴ民主共和国(DRC)は不安定な状況が続く。紛争と様々な鉱物資源の採掘が密接につながっている。そして日本とも決して無関係ではない。

DRCの東部にあるコルタン(タンタルの原料)、スズ、タングステン、金などの鉱山の多くは国軍を含む武装勢力にコントロールされ、労働力は奴隷に近い状況が少なくない。南部にある銅、コバルトの鉱山は紛争地から離れているが、大手企業が利益を得ても、鉱山労働者が得られる収入は少なく、鉱山が環境にもたらしている悪影響は大きい。

電子回路の部品であるコンデンサに欠かせないタンタル。DRCには世界の埋蔵量の6~8割があると考えられている。主に闇市場で動いているため、実際の生産量は測りにくいが、昨年、DRCのタンタルは世界の生産量の9割も占めたと推測されている。その多くは中国が輸入しており、そして日本の電子産業に使われているタンタルの多くは中国から輸入している。

今年7月、アメリカでDRCの紛争と鉱物資源に関する法律ができた。2011年4月からは、アメリカの企業が使用している鉱物資源がDRCの紛争と無関係であることを証明する義務を負う。実質的にDRCとその周辺国からのタンタル、スズ、タングステン、金などが使えなくなる。そのため、来年タンタルの値段は今年の4倍に跳ね上がると見込まれている。DRC東部では武装勢力と鉱業の関係が続いているため、カビラ大統領は一時的に東部の鉱山の活動禁止指令を発令した。しかし、鉱業を続行している鉱山もある。

また、環境に優しいと言われている電気自動車の生産が増えているため、リチウムイオン電池の需要も跳ね上がっている。日本の三洋電機は生産量を5年で10倍にする予定で、「加西グリーンエナジーパーク」という新しい工場を完成したばかりである。世界のリチウムイオン電池に含まれるコバルトは極めて環境状況が悪い鉱山で採られている可能性が高い。世界のコバルト生産量の4割はDRCが占める。中国も韓国もコバルト、銅などを確保するためにDRCに大規模の投資を計画している。

また、日本の企業はDRCの石油の採掘に関わっている。国際石油開発帝石株式会社は1970年からコンゴ民主共和国沖合鉱区で石油の開発に参加しており、現在も採掘が継続されている。さらに今年から、同社はDRCの陸上油田の開発にも参加しているが、今のところ石油は発見できていない。 

日本のメディアは相変わらず、DRCの状況を無視している。読売新聞では紛争の状況や政治情勢を伝えるどころか、アメリカの紛争鉱物の法律と日本の電子産業への影響すら伝えていない。日本の経済成長に欠かせない電子産業、そして日本で高まる環境意識。DRC情勢とその鉱物資源に目を向けるべきではないだろうか。アフリカも世界の一部だ。

以下の文書のような形で、読売新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。

このリンクから直接投稿してください。なぜ読売新聞?

(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。

「コンゴ民主共和国の情勢と日本の電子産業との関連が深まっています。特にアメリカで紛争鉱物に関する法律ができたため、日本の電子産業に欠かせないタンタル、スズ、タングステンなどの市場が大きく動き始めています。しかし読売新聞はなぜかこの状況を伝えようとしません。他人事ではありません。コンゴ民主共和国の情勢に目を向けるべきではないでしょうか。アフリカも世界の一部です。」

英語になりますが、以下のサイトを参照に:

 DRCの金の鉱山と国軍の関わりに関する記事

 価値が高まるタンタルに関する記事

 DRCの銅・コバルトと中国韓国の投資

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コンゴ・ウィーク(パート2)イベント紹介

Posted in イベント, コンゴ民主共和国 with tags , , , , , , , , , , , on 11月 9, 2010 by Virgil

① 講演会(再):「コンゴ民主共和国の紛争を知る、考える、語る」

2010年11月16日(火) 16:20~17:50

② 演劇(再演):「コンゴ ‐ 君に届け ‐」

2010年11月20日(土) 19:00~

コンゴ・ウィーク2010 イベント紹介

Posted in アフリカ, イベント, コンゴ民主共和国 with tags , , , , , , , , , , , , , , , on 10月 1, 2010 by Virgil

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ブルンジ紛争再発?

Posted in 「アフリカも世界の一部」, ブルンジ, 報道量, 大湖地域 with tags , , , , , , , , , , , on 9月 28, 2010 by Virgil

 「アフリカも世界の一部」第11

今年7月、ブルンジで大統領選挙が行われ、現職のヌクルンジザ大統領が再選された。しかし不正を訴えていた野党が選挙をボイコットした為、ヌクルンジザは唯一の候補者であった。与党と野党の間で対立が続き、現在、ほとんどの野党は議会を含む政治機関への参加を取りやめている。

大統領選挙前から、何人かの野党政治家が逮捕され、又、少なくとも3人は亡命している。逆に、与党事務所付近などでの手榴弾爆破事件も多発している。そして先週、首都ブジュンブラ近くの川で14人の遺体が発見された。紛争が続く隣国コンゴ民主共和国より遺体が流れてきたという説があったが、何人かの遺体から身分証明書が発見され、ブルンジの警察官や軍人が含まれていたことがわかった。ブルンジ政府は犯罪組織の仕業だと発表しているが、不満を持った野党が反政府勢力を組織化し、ブルンジ紛争が再発したことを意味するのではないかという声もある。 

ブルンジはルワンダの隣国であり、歴史的にルワンダとよく似ている。ルワンダと同じように人口密度の高い小さな国で、もともとは王国として統治されていたが、19世紀以降、ドイツ、のちにベルギーの植民地となった。人口の過半数を占める「フツ系」住民と少数派「ツチ系」住民との間の激しい権力争いが長年続いてきた。1962年の独立以来、ツチ系にコントロールされた政権が続いたが、1993年に初めての民主的な選挙が行われ、初のフツ系大統領が選ばれた。ところが、その直後にその大統領が暗殺され、これを機に紛争が勃発した。大規模の虐殺で30万人が殺されたが、ルワンダのように注目を浴びることはなかった。

和平プロセスはゆっくり進んだ。2000年に主要な反政府勢力と和平合意ができ、2001年に暫定政府が成立した。2005年にはもと反政府勢力(民主防衛勢力、FDD)のリーダーであったヌクルンジザ氏が選挙で当選、大統領となった。もう一つの反政府勢力(国民解放勢力FNL)が軍事活動を続けたが、2009年にようやく和平合意が成立し、反政府勢力から野党へと生まれ変わった。ブルンジ紛争はここで正式に終結した。

政治的な不安定が続くブルンジであるが、決してブルンジだけの問題ではない。ルワンダでの虐殺はブルンジでの虐殺の半年後に起きており、大きく関連している。また、ブルンジは、ルワンダやウガンダと同じように、コンゴ民主共和国の紛争にも介入した。ルワンダと国連の外交騒動の原因である「コンゴ民主共和国の紛争に関する報告書」にはブルンジの国軍及び反政府勢力による残虐行為も含まれている。ブルンジ政府は関与を否定し、報告書からブルンジに関する記述の削除を求めている。

日本のメディアにブルンジのことが報道されることはほとんどない。今年の大統領選挙が行われた事実を伝える130文字の記事は掲載されたが、ブルンジ情勢に関する記事としては5年ぶりである。2005年の前回の大統領選挙を伝える記事は100文字であった。ブルンジの紛争、和平プロセス、政治情勢が完全に無視されてきたのはなぜだろうか。アフリカも世界の一部だ。

以下の文書のような形で、読売新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。

このリンクから直接投稿してください。

(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。

「ブルンジの武力紛争は少なくとも30万人の犠牲者を出し、2009年にようやく終結を迎えました。ところが、野党がボイコットした今年の大統領選挙から政治の不安定が続き、紛争が再発する可能性もあります。ブルンジ情勢を含めて、大湖地域情勢を報道してください。」

英語になりますが、以下のサイトを参照に:

 ブルンジの歴史タイムライン

 今年の大統領選挙に関するニュース(映像)

 ブルンジ情勢の分析

※  コンゴ民主共和国の紛争への意識を高めるためのグローバル運動「コンゴ・ウィーク」が、今年は10月17~23日に世界各地で開催されます。日本でも、大阪大学を中心にいくつかのイベントを予定しています。詳細はこれからお知らせしますが、関心のある方はご一報をお願いします。

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