南アと欧州の武器取引問題
「アフリカも世界の一部」第45号
2011年9月、南アフリカのズマ大統領は武器取引における汚職疑惑の調査を再開することを発表した。問題にされている武器取引は、1999年に南アフリカ国軍の近代化を目指し欧州数カ国との間に行われた大規模の取引(約3千億円)である。
取引にはイギリス、フランス、イタリア、ドイツ、スウェーデン、南アフリカの企業が参加したが、契約を成立させるために、いくつかの企業が南アフリカの政府関係者などを買収した、もしくは、政府関係者のほうから賄賂を要求したという疑惑がもたれている。例えば、南アフリカに戦闘機を売ったイギリスの兵器製造業者BAE社(スウェーデンのSAAB社と共同)が賄賂用の予算を設けていたと広く報道されている。
取引が行われた当時から疑惑が浮上しており、すでに南アフリカでは何人かの政府関係者が逮捕され、有罪判決が出ている。その一人は当時副大統領を努めていたズマ氏の財務顧問であったため、ズマ氏本人の関与も疑惑視されてきたが、2009年にすべての起訴は取り下げられた。
そこで、なぜズマ大統領本人が今回の調査再開に踏み切ったのだろうか。現在、ズマ大統領が率いる与党ANC内部で争いが激しくなっており、党内でズマに反対している勢力が再び汚職疑惑をかけようとしている。疑惑が再び浮上した場合、不利にならないよう自ら調査のプロセスをコントロールするためとされている。
仮に汚職問題がなかったとしても、取引自体に対する批判も強かった。深刻な貧困問題を抱え、また南アフリカの脅威となる強力な国が周辺には存在していない。そんな状況の中で、新しい軍艦、潜水艦、戦闘機などに何千億円をかける必要性が問われた。
南アフリカはアフリカ大陸では最大の経済を誇っており、世界の主要新興5カ国(BRICS)に含まれている。人種差別が制度化されていたアパルトヘイト時代に、他の多くの国がアパルトヘイト政策の撤廃をめざし経済制裁をかけていた中、日本は白人政権と良好な貿易関係を維持し、南アフリカの最大の貿易相手となった。そのため、本来なら差別の対象となる日本人は「名誉白人」として扱われていた。現在も、経済を含み、日本との関係は決して浅くない。
しかし、日本では、2010年のワールドカップ以降、南アフリカに関する報道が少ない。例えば、読売新聞は今年に入ってから、地方選挙及び、アパルトヘイト時代の話題に関する記事をいくつか掲載したものの、武器取引問題については一度も報道していない。また、ズマ大統領の政治問題もほとんど報道されていない。南アフリカの情勢を報道する必要があるのではないだろうか。アフリカも世界の一部だ。
以下の文書のような形で、読売新聞にこの状況を伝え、報道を求めよう。
このリンクから直接投稿してください。
(もちろん、自分自身のメッセージを書いていただくのが望ましいのだが、以下の文書をコピーしてリンク先に張り付けるのも可能)。
「南アフリカと欧州数カ国の企業との間に行われた大規模の武器取引をめぐる疑惑の調査が現在再開されています。南アフリカのズマ大統領も関与していたともされています。この問題を報道する必要があるのではないでしょうか?アフリカも世界の一部です。」
英語になりますが、以下のサイトを参照に:
南アの武器取引問題に関する分析
BAE社と南アの武器取引に関する記事
BAE社と南アの武器取引に関する分析
10月に行われる国際イベント「コンゴウィーク」に関する情報
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